糖尿病は、血液中のブドウ糖が過剰に存在する高血糖状態が続く病気です。長期にわたる高血糖状態は、全身の血管に様々な問題を起こします。
症状としては、のどの渇き・多尿・頻尿・倦怠感などがありますが、合併症が起きて初めて糖尿病になっていることに気付く場合もあります。
放置していると、心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎不全や眼底出血、下肢の壊死といった深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
こうした糖尿病による合併症には、網膜症、腎症、神経障害を起こす細小血管障害と、冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患を起こす大血管障害があります。
糖尿病という病気は血糖値が高いことをもって診断される病気ですが、実は単に「血糖値が高くなる病気」ではないことがお分かりいただけるのではないかと思います。
糖尿病の治療は「血糖値を下げる」ことだけを続けるのではありません。血糖値を下げるのは、糖尿病の治療目的である「血管障害を防ぐ」ための一つの手段です。治療としては、食事療法と運動療法をまず行いますが、無理せず続けられることが重要です。
食事療法と運動療法だけで血糖の正常値を保てるようになる方もいらっしゃいますし、これだけではうまく血糖値が下がらない場合には、内服薬による治療やインスリン療法を行います。健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持や、健康な人と変わらない寿命の確保のために、早めに治療を受けましょう。